年明け以降、米国株の調整が続いています。
とりわけ、グロース株の下落幅が大きいです。
今年に入り、米国の中央銀行であるFRBが金融引き締めを前倒しで進めていくという見方が強まり、長期金利が上昇したことから、米国株はグロース株を中心に大幅に下落しました。
リーマンショック以降、米国経済の牽引役となっていたグロース関連銘柄が調整したことによって、米国株全体にその影響が波及しています。
ここ数年で米国株投資を始めた方の中には、GAFAMやテスラ、ネットフリックの株をポートフォリオの中心に据えている方も多いのではないでしょうか。
GAFAMとはグーグル、Amazon、Facebook(現メタ)、アルファベット、マイクロソフトの頭文字を取った呼び名のことです。
このGAFAMも大型グロース株の一種です。
2022年に入り、このGAFAMも大きく調整し、びくびくしている方も多いことでしょう。
ネットフリックの株が暴落したときはびっくりしましたよ。
今回はこのグロース株とは何なのか、そして、このグロース株とどう付き合っていけばいいのか考えてみたいと思います。
そもそもグロース株って?
株式の運用にはスタイルによってグロース株投資とバリュー株投資の2つがあります。
グロース株とは売上げや利益などの成長率が高く、将来にわたって、株価の上昇が期待できる企業が該当します。
そういった企業群に投資をするスタイルがグロース株投資です。
一方で、バリュー株とは企業の価値が市場で十分に評価されておらず、割安な価格で市場に出回っている株のことです。
そういった企業群に投資をするスタイルがバリュー株投資です。
グロース株の企業は今後も大きな成長が見込まれる勢いのある新興企業や高い技術力をもっていたり、ニーズの高い商品やサービスを取り扱っている企業が多いです。
ここ数年こうした企業群の株価が大幅に上昇してきたことから個人投資家の間でグロース株は高い人気を誇っています。
グロース株のメリット、デメリット
メリット
・株価が大きく上昇する可能性がある。
大きな成長が期待できる優良なグロース株を見つけることが出来れば、大きなキャピタルゲインを獲得できる可能性があります。
デメリット
・株価が急落する可能性がある
これはどんな銘柄にも言えることでもありますが、グロース株の場合、何らかの要因で業況が悪くなってしまったり、先行きの不透明感が強まったりした場合、株価が急落することがあります。
・株価が割高になっている場合がある
グロース株の株価は将来の株価上昇期待を織り込んだ価格になっていること、投資家の人気が集中していることから本来の価値以上に割高になっている場合もあります。
・配当がないことが多い
グロース株は配当を投資家に還元するのではなく、設備投資等の自身の事業への投資に回し、利益の最大化を図るケースが多いため、配当金が少ないかもしくは全く支払われないことが多いです。
バリュー株についてはまたの機会にお話ししようと思います。
金利と株式の関係
なぜ長期金利が上がると株価は下がるのでしょうか?
長期金利が上昇すると銀行の借り入れ金利が上昇します。
借り入れの金利が上がれば、企業は銀行から借り入れをするような積極的な設備投資を抑えるようになります。
また、個人は住宅ローンを組んで住宅を購入するといった消費行動を控えるようになります。
世の中のお金の巡りが悪くなるわけですね。
すると、企業の業績や今後の景気の悪化が予想され、株式を売りたいと思う人が増えます。
こうして株価が下落していくわけです。
また、長期金利が上昇すると、あえて、リスクを取って株式に投資しなくても、国債といった債券に投資をしておけば、低リスクでリターンを得られるため、株を売り、債券を購入しようという動きが活発化します。
こうしたことも株価が下がる原因です。
足元ではアメリカの長期金利が上昇しています。
特にグロース株は将来への成長期待が高く、株価はその価格上昇への期待を含んだ株価となっています。
この期待はあくまで期待でしかないわけですから、グロース株の場合、思っていたほど株価が上昇しないリスクがその他の銘柄に比べ高いと言えます。
グロース株投資はハイリスクハイリターンな投資法なわけです。
金利が上がると期待先行型の投資対象(グロース株)に投資するよりは、債券や割安な価格で放置されているバリュー株に投資した方が確実だし、安心できるという心理が働き、グロース株ほど売られやすくなるというわけです。
アマゾンの過去の暴落局面を振り返る
巨大テック企業であるアマゾンやアップル、マイクロソフトなどの多くのグロース銘柄が過去に暴落を経験しています。
アマゾンの株価を振り返ると1997年5月に上場したときの終値は1.96ドルでした。
その後、インターネットの普及に伴う当社の成長期待から株価は急騰しました。
しかし、2000年バブルの崩壊に伴い、アマゾン株も急落し、直近の高値から94%の大暴落を引き起こしました。
1999年12月の高値106.69ドルから2001年の9月には5.97ドルまで急降下しました。
こうした大暴落によって多くの投資家は狼狽売りを余儀なくされました。
90%以上も下落したら普通は保有し続けるのが難しいですよね。
アマゾンは今でこそ、アメリカを代表する企業ですが、2000年代前後の同社はまだまだ成長過程にあり、暴落時に安値で売った投資家は今日の上昇局面における莫大な利益を取り逃がす結果となりました。
結局は信じて持ち続けられた人だけが、得をする結果になったわけですね。
グロース株との付き合い方
グロース株における相場には必ず波があり、長期的な上昇局面が続けば、大きな下落局面がくるものです。
こういった危機を乗り越えられた企業だけが、次の上昇局面で大きな恩恵を受けることになります。
ITバブルの時のように、今回の長期金利上昇局面を乗り越えた企業だけが、今後10年を牽引するグロース企業として君臨するかもしれません。
個人投資家がグロース株を保有するにあたって重要なことは
- 一時的な下落局面に動揺しない強い気持ちを持つこと。(下落局面が数年にわたる可能性もありますが…)
- 長期的な業績成長の見通しが有望な企業を見極める力。
- ポートフォリオにおけるグロース株の保有割合を限定し、下落局面に耐えうる額にしておくなど、許容できるリスクの範囲内の金額で運用を続けていくこと。
この3点かと思います。
まとめ
今回はグロース株とは何なのか、そして、グロース株との付き合い方について解説してきました。
足元の長期金利上昇によってグロース株を中心に株価が下落しています。
このグロース株の下落は実力を伴わない企業が剥落していく局面であるとともに、本当に実力のある会社だけが生き残る時代の幕開けとなったのかもしれません。
グロース株に投資をする場合は長期的な成長トレンドを見極めつつ、リスクとうまく付き合いながら、投資を続けていくようにしましょう。
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